守矢（モリヤ）資料館と諏訪大社前宮

Moriya and Suwa Shrine-maemiya

諏訪の御頭祭（おんとうさい）と御柱（おんばしら）の神事を司る、守屋山（もりやさん）山麓の守矢家（もりやけ）を訪ねてきました。

守矢資料館

“モリヤ”という地名を聞けば、ピンとくるものがあります。現在のエルサレムの聖なる地と考えられている場所と同じ名前です。モリヤは、初めて神がアブラハムに現れ、アブラハムの子孫となる民族に祝福を授けた地です。根拠となるのは、旧約聖書、創世記22章1-19節、イサクの燔祭と言われる箇所です。

“これらのことの後で、神はアブラハムを試された。神が「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が「はい」と答えると、神は命じた。「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。私が命じる山に登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」”

守矢資料館です。

神長（じんちょう）とは、神事を司る役目のことで、守矢家が代々受け継いでこられました。

守矢資料館の外観｡御頭祭に関連する薙鎌（なぎかま）が飾ってあります。

守矢山を後に眺めます。守矢山自体が信仰の場所となっています。

菅江真澄が1784年に御頭祭を見て残したスケッチ。文章もある。

“長さ五尺あまり幅は五寸ほどで先のとがった柱を押し立てる。これを御杖とも御贄柱（おにえばしら）ともいう。御神（おこう）といって八歳ぐらいの子供が紅の着物を着て、この御柱にその手を添えさせられ、柱ごと人々が力を合わせてかの竹の莚の上に押し上げて置いた。（中略）そこへ上下を着た男が藤刀というものを小さな錦の袋から取りだし、抜き放って長殿に渡す。長殿がこの刀を受け取り、神官に渡す。その藤刀を柱の上に置く。また長い縄を渡す。“神官は、藤刀で柱の先端を刻みつけたり、縄で枝を結んだりした後に、”例の神の子供達を桑の木の皮を縒りあわせた縄で縛り上げる。その縄で縛る時、人々は、ただ「まず、まず」と声をかける。“　その後、使者が現れ、御宝が到着し、縛られていた子供が釈放される。

神の鉾にかかった耳の裂けた鹿（耳裂鹿）が捧げられる。

神の鉾にかかった耳の裂けた鹿（耳裂鹿）が捧げられる。

参考までに、創世記22章9-14節からの引用。

“　神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。その時、天から種の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。彼が「はい」と答えると御使いは言った。「その子に手を下すな。何もしてはいけない。あなたが神を畏れる者であることが今わかったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、私に捧げることを惜しまなかった。」アブラハムは、目を凝らして見回した。すると、後の木の茂みに一匹の雄羊が角をとられていた。アブラハムは、行って、その雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。”アブラハムは、その場所をヤーウエ、イルエ（主は備えてくださる）と名付けた。そこで、人々は、今日でも「主の山に備えあり（イスラエ）」と言っている。主の御使いは、再び天からアブラハムに呼びかけた。御使いは言った。「私は自らにかけて誓う。と主は言われる。あならがこの事を行い、自分の独り子である息子すら惜しまなかったので、あなたを豊かに祝福し、あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子孫は、敵の城門を勝ち取る。地上の緒国民は、すべて、あなたの子孫によって祝福を得る。あなたが私の声に聞き従ったからである。」“

守矢家の十字の家紋。景教とのつながりがあるという説もあるが。

ミジャクジ神の祠の四隅を4本の柱が囲む。柱の上には、御幣が取り付けてある。これは、諏訪神社前宮における4本の御柱の造りと同じである。

諏訪神社前宮

前宮は、出雲系の建御名方命（たけみなかたのみこと）が来る前から有った宮という意味。古来のミシャクジ神を奉る。御頭祭が奉られた宮。

みそぎ、水と関連が深い前宮。

守屋山を含む、多くの宮があった跡。

神官が今日も祈りに向かう。袖からたれさがる糸は、古代イスラエルのツイツイツイートと同じデザイン。

御頭祭が捧げられる十間廊。

内御玉殿

御室社。蛇というところは、何か別のルートを感じさせる。旧約聖書の仮庵とは無関係か？

前宮の本殿

本殿の四隅を囲む、御柱。柱の先端に御幣があるのは、ミシャクジ神の祠と同じ。

水眼（すいが）の清流。禊（みそぎ）の場所であっただろう水場。景教の影響があれば、洗礼の場所としても用いられたのであろうか。